このタイプのおはなしを初めて知ったのは、福音館の「こどものとも」シリーズの「さるとびっき」という絵本でした。そのおはなしでは、さるがびっき(ひきがえる)を騙した挙句にその報いを受けるという勧善懲悪式にストーリーが進行します。けれど、そんな悪者の猿とつきあっている蛙は、いったい完全に無垢だといえるのでしょうか。この「餅争い」では、餅を自分たちで搗く「さるとびっき」とは異なって、猿と蛙はぐるになって庄屋さまのところで搗きあがった餅を奪ってきます。蛙も決して清廉潔白なわけではなく、猿の片棒を担いでいるのですね。そうなると、猿に熱い餅を投げつけた蛙の行動にも、別の意味が浮かんでくるような気がします。虐げられた弱者の思い余っての反逆、というような綺麗事ではないと思うのですが、いかがでしょうか。
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December 2016
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