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「おはぎの話」について

5/18/2015

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October 04, 2009投稿の再掲

昨夜は中秋の名月。「お月見」の夜ということで、息子のまことの寝物語に古い話を復活させました。長いだけが取り柄のような話で、ちょっと書き起こすだけの体力がありません。それに、「おはなし会」で使えそうなネタでもないので、あらすじだけを以下に。

    むかし、山奥に一人暮らしのおばあさんがいました。おばあさんは毎年、お月見の夜におはぎを供えてお下がりを頂くのを楽しみにしていました。ある年、お月見の前の日に明日のお供えのためにおはぎをたくさんつくり始めたのですが、突然の嵐。おばあさんはすっかりしょげて、寝てしまいました。ところがその夜、激しい雨音の中、だれかが表を叩きます。出てみると、旅のお坊さん。おばあさんはお坊さんを泊めます。ご馳走もないし、お月様も明日は出そうにないので、お月見のためのおはぎを出します。お坊さんはすっかり食べ尽くしてしまいます。
    夜が明けると、お坊さんの姿はなく、嵐は過ぎ去った模様。夕方には晴れ間も出てきました。そこでおばあさんはお月見ができそうだと、お供えのススキを刈りに出かけます。途中通ったお地蔵さまの前に、昨日のおはぎが置いてあります。昨日の夜のお坊さんはこのお地蔵さまだったのだとわかったおばあさんは、このお地蔵さまの前でお月見をしました。

まだまことが小さいころ、行き当たりばったりでつくったお話です。お話としてはけっこうありふれた民話系の焼きなおしですし、それほど出来のいいものでもないと思います。「寝かしつけるためには退屈な話の方がいいだろう」と思って、できるだけ細かいところまでくだくだしく喋っていたら、こんなふうになりました。だから、話すときにはなぜおばあさんが独居なのか、日常生活はどんなふうなのか、小豆はどんなふうに炊けばいいのかなど、およそ本筋とはまったく関係のないようなことを詰め込めるだけ詰め込んで話します。

ところが、これがなぜかまことにウケるのです。4歳頃には寝かしつけようとする度にリクエストされるほどでした。細かいことを喋るのにだんだん疲れてきたのと、「退屈させよう」という意図が裏目に出て話す方が退屈になってきたので、1年ちょっと前からこの話は封印してきました。リクエストされても話さないようにしてきたのです。

けれど、昨夜は十五夜。きれいなお月様に、「久しぶりに話してもいいかな」という気になりました。たまたま数日前にリクエストされていたこともあって、昨夜はゆっくりとしゃべり始めました。

ところが昨日は、やはりたまたま運動会。初めての運動会で疲れたのでしょう、まことはあんこが炊き上がる前にすやすやと寝入ってしまいました。美しい寝顔を見ながら、成長したなあと感慨ひとしおな夜でした。
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