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「貧乏神と福の神」について

2/24/2011

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「貧乏神と福の神」は、バリエーションが豊富なおはなしのようです。先日、小学校のイベントで、読み書かせサークルの方が現代版のこのおはなしの絵本をとりあげていました。そこでは、福の神の福袋の中に貧乏神が入っていたというオチになっています。
よく普及したバージョンでは、貧乏神と福の神が争い、宿主が貧乏神に加勢して貧乏神が勝つというものです。常識的にいえば福の神を歓迎するはずの宿主が貧乏神を勝たせるという意外性が話のツボなのだろうと思います。
貧乏神が勝ったあとは、「貧しいながらも幸せに暮らしました」という結末になる場合もあるようです。しかし、ここでは、日本人にとっての神様というものの本質に着目しました。神様というのは、原始的には自分たちでコントロールできない自然の脅威であり、それを祭り、宥めることで日々の安全を確保しようとしたものだと言われています。また、征服した民やそのトーテムを神として祀ることで、自分たちの安全と正当性を確保しようとした場合もあると聞きます。つまり、神様というのは、本来は厄介なものであり、厄介なものを祀ることで自分たちに有利な働きをさせようというのが、日本人にとっての神祇なわけです。
と考えれば、貧乏神という厄介者は、それを追い払うというのがまず最初にくるとして、追い払えない場合は祀ってしまえというのが当然その次にくるはずです。そして、祭り上げられた厄介者は守護神に変化するはずです。つまり、貧乏神は、それを拝むことで福の神に変身できるはずなのですね。
ということで、福の神と貧乏神の争いという部分は強調せず、むしろ、その後の貧乏神が福の神に変身していくところに焦点を当ててみました。
このおはなしには、あまりの貧しさに貧乏神が逃げ出そうとするというバリエーションもあるようです。そちらの方は、別のおはなしとして機会があれば書いてみたいと思います。
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