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「こぶとり爺さん」について

2/26/2011

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こぶとり爺さんで、印象深いのは、やっぱり太宰治の「お伽草子」収録の「瘤取り」です。たぶん、このネタで、これを越える解釈はないんじゃないかと思います。
で、そういう傑作が先にあるので、ここではなるべく「ふつうの」、よく流通しているスタイルで書いていこうと思ったんですね。
ところが、「鬼」たちが出てくるところでつまづきました。「鬼」は、つまり、異形の者たちです。姿形や習俗が一般の人間と違うために恐れられ、忌まわしいものとされた人々です。そういった人々が、人目につかないところで一時の楽しみのために集まっているわけですね。
一方のお爺さんも、コブがあるために「異形」の生活を強いられています。お爺さんの方が、一般人の中で「ふつうの」暮らしをしている分だけしんどいかもしれません。
その異形の者どうしが、たまたま山の中でであって、楽しい時間を過ごします。互いに惹かれ合う気持ちが生じるのではないでしょうか。けれど、お爺さんは「ふつうの」世界に生きています。帰らなければいけません。そして、異形の徴であるコブを失うわけです。
となると、もうひとりのお爺さんの運命は、別のものでなければなりません。つまり、異形の者たちの中に加わり、「ふつうの」世界に決別する運命です。そんなことを考えていたら、結末がだいぶと「ふつう」ではなくなってしまいました。ま、こんなこともありますね。気ままな昔語りでは。
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