サンタクロースのわすれものは、私自身が忘れ物をしたときに生まれたお話です。12月のある日、5歳の女の子を訪れるときに、読み聞かせをしようとかばんに詰め込んでいた何冊かの本を玄関に忘れてしまっていたことに気がつきました。いまさら取りに帰るわけにもいかず、車を運転しながら、どうやってごまかそうかなと考えていました。保育園の子どもたちに話して聞かせたように、またなにか出任せのお話でもしようかと、ようやく気持ちが決まり、クリスマスも近いので、サンタクロースのお話でもしようかと思いました。とはいえ、私はサンタクロースのことをあまり知りません。知らないことをさも知っているように喋るのも気が進まないことです。サンタクロースで知っていることといえば、童謡に出てくるような簡単なイメージだけです。そういえば、「あわてんぼうのサンタクロース」という歌があったなと思ったとき、思わず笑ってしまいました。なにしろ、玄関先に本を忘れてくるあわてんぼうは、サンタクロースではなく、私なのですから。そして、その瞬間にこのお話が浮かびました。あわてんぼうのサンタクロースは日付を間違えるのですが、もっとありそうなのは荷物を忘れることでしょう。そして、荷物を忘れたサンタクロースがどうやってその夜をごまかしたのか、これはなかなか興味深いことです。
車が女の子の家につく頃にはあらかたお話はできていたのですが、残念ながら彼女はこの日はお絵かきに夢中で、おはなしを聞くような気分ではありませんでした。ですから、このお話も語らず仕舞です。ただ、せっかくできた記念に、ここに書き残しておくことにします。
車が女の子の家につく頃にはあらかたお話はできていたのですが、残念ながら彼女はこの日はお絵かきに夢中で、おはなしを聞くような気分ではありませんでした。ですから、このお話も語らず仕舞です。ただ、せっかくできた記念に、ここに書き残しておくことにします。