子どものためのおはなし
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豆になれなかった豆腐

5/18/2015

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大根と豆腐は、仲の良い友だちでした。なぜなら、どちらも色白でやさしく、みずみずしい心をもっていたからです。大根は、根っからの働き者でしたし、豆腐はまめまめしい性格でした。似た者同士はひかれあうもののようです。

さて、あるとき豆腐が病気になりました。大根はたいへん心配して、お見舞いにいこうと思いました。

大根は、まずゴボウのところにいきました。いっしょに豆腐のお見舞いに行こうというのです。ところがゴボウは、
「おれは何日も風呂に入っていないから、ほれ、このとおり真っ黒だ。これではとても、病人さまのお見舞いなんぞには行かれない」と、ことわりました。

そこで大根は、ニンジンのところに行きました。いっしょに豆腐のお見舞いに行こうというのです。ところがニンジンは、「私はもうお酒を飲んでしまったの。こんな赤い顔で表を歩くなんて、恥ずかしくってできないわ」と、さらに顔を赤くしました。

しかたがないので、大根はひとりで豆腐のお見舞いに行きました。豆腐は、すっかり弱って、ふにゃふにゃと寝ていました。
「豆腐くん、はやくよくなっておくれよ。また、まめなきみに戻れるといいね」と、大根は言いました。すると、豆腐は力なく答えました。
「ぼくはダメだよ。豆に戻れるわけがない。だって、オカラがないんだもの」
(初出:May 15, 2009)
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    作者について

    私の家は保育園のすぐ近く、そして薪ストーブがあります。そこで、冬季限定のお楽しみとして、薪ストーブの火を囲んでのおはなし会に年長児さんを招待することになりました。そのおはなし会で使ったネタを、ここで紹介していきます。

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