大根と豆腐は、仲の良い友だちでした。なぜなら、どちらも色白でやさしく、みずみずしい心をもっていたからです。大根は、根っからの働き者でしたし、豆腐はまめまめしい性格でした。似た者同士はひかれあうもののようです。
さて、あるとき豆腐が病気になりました。大根はたいへん心配して、お見舞いにいこうと思いました。
大根は、まずゴボウのところにいきました。いっしょに豆腐のお見舞いに行こうというのです。ところがゴボウは、
「おれは何日も風呂に入っていないから、ほれ、このとおり真っ黒だ。これではとても、病人さまのお見舞いなんぞには行かれない」と、ことわりました。
そこで大根は、ニンジンのところに行きました。いっしょに豆腐のお見舞いに行こうというのです。ところがニンジンは、「私はもうお酒を飲んでしまったの。こんな赤い顔で表を歩くなんて、恥ずかしくってできないわ」と、さらに顔を赤くしました。
しかたがないので、大根はひとりで豆腐のお見舞いに行きました。豆腐は、すっかり弱って、ふにゃふにゃと寝ていました。
「豆腐くん、はやくよくなっておくれよ。また、まめなきみに戻れるといいね」と、大根は言いました。すると、豆腐は力なく答えました。
「ぼくはダメだよ。豆に戻れるわけがない。だって、オカラがないんだもの」
さて、あるとき豆腐が病気になりました。大根はたいへん心配して、お見舞いにいこうと思いました。
大根は、まずゴボウのところにいきました。いっしょに豆腐のお見舞いに行こうというのです。ところがゴボウは、
「おれは何日も風呂に入っていないから、ほれ、このとおり真っ黒だ。これではとても、病人さまのお見舞いなんぞには行かれない」と、ことわりました。
そこで大根は、ニンジンのところに行きました。いっしょに豆腐のお見舞いに行こうというのです。ところがニンジンは、「私はもうお酒を飲んでしまったの。こんな赤い顔で表を歩くなんて、恥ずかしくってできないわ」と、さらに顔を赤くしました。
しかたがないので、大根はひとりで豆腐のお見舞いに行きました。豆腐は、すっかり弱って、ふにゃふにゃと寝ていました。
「豆腐くん、はやくよくなっておくれよ。また、まめなきみに戻れるといいね」と、大根は言いました。すると、豆腐は力なく答えました。
「ぼくはダメだよ。豆に戻れるわけがない。だって、オカラがないんだもの」
(初出:May 15, 2009)