October 07, 2009投稿の再掲
「友だちの味」は、数日前の夜、息子のまことのリクエストでつくったおはなしです。最近はストーリーを考えるのも面倒くさくなって、「おはなしをして」とせがまれても「桃太郎」でごまかすことが多いのですが(「むかしむかし、おじいさんとおばあさんが...」と話しはじめると、「もうそのお話はいい」と遮られ、「それならもう寝なさい」というように、なしくずしにおはなしから話題を逸らします)、この夜は押しきられるかたちで「むかし、小さな国にひとりの王さまが...」と始めてしまいました。しかたなしにその続きをがんばったわけです。
もっとも、話をしたときには、どう展開させていいのか、自分でもわかりませんでした。小さな国の住民がたったひとり(つまり王さまでもあれば庶民でもある)というのは十分にウケたのですが、その先の構想がありません。手がかりも何もないのです。こういうときは笑いでごまかすしかありません。そして、小学生の笑いといえば下ネタです。
たとえば、昨日もまことの友だちと出会ったら、いきなり「チンチン、オシッコ、ウンコ」というような言葉を浴びせられました。本人は悪口雑言のつもりではありません。これが面白くて笑いこけるのです。小学生とはそんなものなのでしょう。
それにこっちが便乗することもないのですが、この夜、私はその手で逃げようとしました。そこで、王さまが「友だちとはどんな味がするのかわからない」といったとき、旅人が「お尻をペランとめくり、『どうぞお舐めください』と言いました」と、やったわけです。
予想通り、まことは大笑い。おはなしは全く中途半端だったのですが、この大笑いに紛れて、「おしまい」とやりました。もちろん抗議の声は出ましたが、そこはうまく丸め込んでしまいました。「本当にこれでおしまいだから」と。
さて、そんなバカバカしい下ネタ話をここに書き残すつもりは全くなかったのです。何しろ、展開もできず、強制的にナンセンスで打ちきったお話です。過去の無数のその場限りのお話のひとつに加えられるはずでした。
ところが、よくよく考えてみたら、下ネタさえ除けば、これはこれでひとつの物語のかたちを成しています。テーマは友情です。友情というのは、そのときには意識されないものです。だから、正面から「友情って何だろう」なんて思っても、わからないものです。それがわからない王さま、それをほんのちょっぴり意識した旅人、けれど、やっぱりふたりにはそれが友情かどうか、よくわからないでしょう。
それが美しい友情に見えるのは、外側から見たときです。ふたりの笑い声を遠くから聞く人は、そこに友情があることを疑わないでしょう。
無理やりに断ち切った部分の「お尻ペラン」だけ除いて、一気にまとめ上げました。下ネタなしで子どもにウケるかどうかはわかりませんが、おはなし会のネタに使えるかもしれません。
「友だちの味」は、数日前の夜、息子のまことのリクエストでつくったおはなしです。最近はストーリーを考えるのも面倒くさくなって、「おはなしをして」とせがまれても「桃太郎」でごまかすことが多いのですが(「むかしむかし、おじいさんとおばあさんが...」と話しはじめると、「もうそのお話はいい」と遮られ、「それならもう寝なさい」というように、なしくずしにおはなしから話題を逸らします)、この夜は押しきられるかたちで「むかし、小さな国にひとりの王さまが...」と始めてしまいました。しかたなしにその続きをがんばったわけです。
もっとも、話をしたときには、どう展開させていいのか、自分でもわかりませんでした。小さな国の住民がたったひとり(つまり王さまでもあれば庶民でもある)というのは十分にウケたのですが、その先の構想がありません。手がかりも何もないのです。こういうときは笑いでごまかすしかありません。そして、小学生の笑いといえば下ネタです。
たとえば、昨日もまことの友だちと出会ったら、いきなり「チンチン、オシッコ、ウンコ」というような言葉を浴びせられました。本人は悪口雑言のつもりではありません。これが面白くて笑いこけるのです。小学生とはそんなものなのでしょう。
それにこっちが便乗することもないのですが、この夜、私はその手で逃げようとしました。そこで、王さまが「友だちとはどんな味がするのかわからない」といったとき、旅人が「お尻をペランとめくり、『どうぞお舐めください』と言いました」と、やったわけです。
予想通り、まことは大笑い。おはなしは全く中途半端だったのですが、この大笑いに紛れて、「おしまい」とやりました。もちろん抗議の声は出ましたが、そこはうまく丸め込んでしまいました。「本当にこれでおしまいだから」と。
さて、そんなバカバカしい下ネタ話をここに書き残すつもりは全くなかったのです。何しろ、展開もできず、強制的にナンセンスで打ちきったお話です。過去の無数のその場限りのお話のひとつに加えられるはずでした。
ところが、よくよく考えてみたら、下ネタさえ除けば、これはこれでひとつの物語のかたちを成しています。テーマは友情です。友情というのは、そのときには意識されないものです。だから、正面から「友情って何だろう」なんて思っても、わからないものです。それがわからない王さま、それをほんのちょっぴり意識した旅人、けれど、やっぱりふたりにはそれが友情かどうか、よくわからないでしょう。
それが美しい友情に見えるのは、外側から見たときです。ふたりの笑い声を遠くから聞く人は、そこに友情があることを疑わないでしょう。
無理やりに断ち切った部分の「お尻ペラン」だけ除いて、一気にまとめ上げました。下ネタなしで子どもにウケるかどうかはわかりませんが、おはなし会のネタに使えるかもしれません。