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「豚と猪」について

5/18/2015

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May 02, 2011投稿の再掲

「豚と猪」は、もともと別のおはなしのなかで喩え話として使ったネタでした。それは、「安全」と「自由」という全く異なった概念が、実は人間の行動の中で深く結びついているということをわかりやすく説明するための工夫でした。
管理され、守られた豚小屋は、豚にとっては安全な場所です。猪の棲む野生は、危険であるだけでなく、不安定で、どのような災厄が待っているか予測のできないところです。「安全」ということからいえば、豚にとっては豚小屋以上の場所はないはずです。たとえそれが最終的に屠殺場に至る道であったとしても、そこが平和で衛生的で安心できる場所であるという事実に変わりはないはずです。
しかし、猪にとっては、そこは牢獄です。猪の暮らしにとって、自由ほどかけがえのないものはないからです。けれど、なぜ自由が重要なのかといえば、それは猪の生活が危険で不安定だからなのですね。危険を回避し、餌を確保するために自由が必要なのです。だから、自由は安全と安定のための可能性なのです。そして、人間にとっては、目に見える形として与えられる安全と安定よりは、目に見えない可能性として安全と安定を支える自由のほうが大切なのです。

この喩え話は、原子力発電所の問題を考えるために提案したものです。原発は、危険だと言われていますし、実際に今回の震災ではとてつもない被害を撒き散らしました。けれど、平常時は安定して恩恵を与えてくれます。であるのにこれがどうも胡散臭いのは、自由を奪うからだと私はそんなふうに思うのですね。
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